「変動金利にしたら金利が上がって後悔する?固定金利は高すぎて払えない?」。2026年の住宅ローン選びは、これまでとまったく異なる判断が求められています。
2025年12月に日銀が政策金利を0.75%に引き上げ、2026年4〜5月にかけて多くの金融機関が変動金利を引き上げました。一方でフラット35(全期間固定)は2026年6月に3.210%と過去最大級の上昇を記録。「低金利時代の常識」は完全に変わりました。
この記事では、2026年6月最新の金利データをもとに、変動金利と固定金利の損益分岐点・金利上昇シミュレーション・どちらが向いている人かを具体的な数字で解説します。
2026年6月時点の住宅ローン金利:最新相場を整理する
| 金利タイプ | 2026年6月相場 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 変動金利(最優遇) | 0.9%前後 | 短期プライムレート連動・半年ごとに見直し |
| 変動金利(一般) | 1.0〜1.2%程度 | ネット銀行で最安値を競争 |
| 10年固定金利 | 2.9〜3.2%程度 | 10年間金利固定・以降は変動or再固定 |
| フラット35(全期間固定) | 3.210% | 住宅金融支援機構・最長35年全期間固定 |
変動金利と固定金利(フラット35)の差は約2.3%。借入額3,500万円・35年返済でこの差が続いた場合、総返済額の差は約1,600万円以上になります。この大きなギャップをどう考えるかが、金利タイプ選択の核心です。
変動金利と固定金利の仕組み:基本をおさえる
変動金利の仕組み
- 金利の基準:短期プライムレートに連動(日銀の政策金利の影響を受ける)
- 金利見直し:通常、年2回(4月・10月)に基準金利を改定
- 返済額の見直し:「5年ルール」により5年間は返済額が変わらない
- 上昇上限:「125%ルール」により返済額の増加は直前の1.25倍まで
- メリット:現状では固定より月々の返済額が3〜5万円安い
- デメリット:将来の金利上昇リスクを負う
固定金利(フラット35)の仕組み
- 金利の基準:長期金利(10年国債利回り)に連動
- 金利見直し:なし(借りた時の金利が完済まで続く)
- 返済額の見直し:なし(月々の返済額が35年間変わらない)
- メリット:金利上昇リスクがゼロ。家計管理がしやすい
- デメリット:現状では変動より月々の返済額が3〜5万円高い。金利が下がっても恩恵なし
変動金利の「5年ルール・125%ルール」の注意点
変動金利の保護措置として広く知られる2つのルールですが、注意点もあります。
- 5年ルール:金利が上がっても5年間は返済額が変わらない→ただし、内訳の「元金/利息の比率」は変化する
- 125%ルール:返済額の増加は直前の1.25倍が上限→ただし、利息の支払いが元金を上回る「未払い利息」が発生するリスクがある
- 適用されない金融機関もある:ネット銀行・一部の銀行では5年ルール・125%ルールが適用されない商品も存在
急激な金利上昇局面では、返済額の変更が抑えられている間に元金の減りが鈍くなり、長期的に返済総額が増えるケースがあります。契約時に金融機関に確認しましょう。
2026〜2030年の金利上昇シナリオ:今後どこまで上がるか
日銀の政策金利予想(2026年時点)
| 時期 | 政策金利予想(野村証券メインシナリオ) | 変動金利(最優遇)目安 |
|---|---|---|
| 2026年6月(現在) | 0.75% | 0.9%前後 |
| 2026年12月 | 1.00%(+0.25%) | 1.1〜1.2%程度 |
| 2027年6月 | 1.25%(+0.25%) | 1.4〜1.5%程度 |
| ターミナルレート(最終到達点) | 1.50%(見込み) | 1.7〜1.9%程度 |
野村証券のメインシナリオでは、政策金利のターミナルレートは1.5%。ただし、ダイヤモンド不動産研究所の試算では、10年後の変動金利は2.322%〜3.847%に上昇する可能性もあります。「変動金利はずっと低い」という前提は危険です。
変動金利上昇が返済額に与えるインパクト(借入3,500万円・35年返済)
| 変動金利 | 月々の返済額 | 前段階との差 | 想定時期 |
|---|---|---|---|
| 0.9%(現在) | 約96,700円 | — | 2026年6月 |
| 1.2% | 約100,600円 | +3,900円/月 | 2026年末〜2027年頃 |
| 1.5%(ターミナルレート想定) | 約107,200円 | +10,500円/月 | 2027〜2028年頃 |
| 2.0%(リスクシナリオ) | 約115,800円 | +19,100円/月 | 2028年以降 |
| 3.0%(ストレステスト) | 約133,800円 | +37,100円/月 | 想定外シナリオ |
ターミナルレート1.5%への到達シナリオでも月々の返済額は現状比+1万円程度の増加。しかし2%を超えるシナリオでは月+2万円近い増加になります。年収や家計余力に照らして「どこまでの上昇なら耐えられるか」を事前に計算しておきましょう。
変動 vs 固定の「損益分岐点」:どちらが総コストで有利か
2026年6月時点で変動(0.9%)とフラット35(3.21%)を選んだ場合の総返済額を比較し、損益分岐点を明らかにします。
シミュレーション条件
- 借入額:3,500万円
- 返済期間:35年
- 変動金利の比較条件:現状0.9%で推移し続けた場合 vs 段階的に上昇した場合
- 固定金利:フラット35 3.21%で全期間固定
シナリオ別・変動金利の35年間総返済額
| 変動金利のシナリオ | 35年総返済額(概算) | フラット35(3.21%)との差 |
|---|---|---|
| ずっと0.9%(現状維持) | 約4,061万円 | ▲約1,677万円(変動が有利) |
| 2030年に1.5%→以降固定 | 約4,250万円 | ▲約1,488万円(変動が有利) |
| 2030年に2.0%→以降固定 | 約4,450万円 | ▲約1,288万円(変動が有利) |
| 2030年に2.5%→以降固定 | 約4,700万円 | ▲約1,038万円(変動が有利) |
| 平均金利が3.21%以上 | 約5,738万円以上 | 固定と同水準または固定が有利 |
| フラット35(3.21%固定) | 約5,738万円 | — |
この試算では、変動金利の35年間の平均が3.21%を超えない限り、変動金利の方が総コストは低くなります。現在の政策金利の見通し(ターミナルレート1.5%)が実現する場合、変動金利で借り続ける方が有利という計算になります。
ただし、これは「金利が予想通りに推移した場合」の話です。予測外のインフレや財政悪化で金利が急騰するリスクシナリオでは固定金利が有利になります。「損得だけでなく、リスク許容度」で考えることが重要です。
変動金利が向いている人・固定金利が向いている人
変動金利が向いているケース
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 月々の返済額を抑えて資産形成に余力を作りたい | 差額3〜5万円をNISA・iDeCoに回せる |
| 繰り上げ返済できる貯蓄・収入がある | 金利が上昇したらすぐ繰り上げ返済でリスク低減 |
| 返済期間が10〜15年以内の短期借入 | 金利上昇の影響を受ける期間が短い |
| 借入額が年収の5倍以内など余裕がある | 返済額増加への耐性がある |
| 金利上昇局面で固定金利への借り換えを検討できる | 将来の判断の柔軟性がある |
固定金利(フラット35)が向いているケース
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 毎月の家計管理を確実にしたい(子育て・教育費が重なる時期) | 返済額が変動せず生活設計が安定する |
| 借入額が多い・収入が不安定 | 金利上昇時のリスクが大きく、固定で安心を確保 |
| 金利リスクに対して強い不安・ストレスを感じる | 精神的安心感が生活の質に影響する |
| 今後10〜15年で金利が大幅に上昇すると予想している | 固定で有利になるシナリオを想定している |
| 住宅ローン以外の変動費が多い(医療費・介護費など) | 固定費を固定することで家計の安定性を確保 |
第3の選択肢「ミックス返済」:リスクを分散する方法
変動か固定かで迷う場合、借入額の一部を変動・残りを固定にする「ミックス返済」も選択肢のひとつです。
ミックス返済の例(借入3,500万円の場合)
| 配分 | 月々返済額 | リスク分散効果 |
|---|---|---|
| 変動100%(0.9%) | 約96,700円 | 金利上昇リスクをすべて負う |
| 変動50%・固定50%(ミックス) | 約116,700円(概算) | 上昇しても半分は固定。差額月2万円でリスク半減 |
| 固定100%(3.21%) | 約136,600円 | 金利上昇リスクゼロ。月+約4万円の安心料 |
ミックス返済のデメリットは、2本の契約を管理しなければならない手間と、両方の事務手数料がかかる点です。「どちらか迷う」という心理的な問題の解決策としては有効ですが、コスト面では純粋に変動か固定かのどちらかを選ぶより複雑になります。
既に変動金利で借りている人が今すべきこと
すでに変動金利で住宅ローンを組んでいる方は、現在の金利環境を踏まえて以下のアクションを取りましょう。
①返済額のストレステストを行う
現在の金利から2%・3%に上昇した場合の返済額を試算し、家計で吸収できるか確認しましょう。「金利が1%上がると借入3,500万円で月+約8,300円(簡易計算)」が目安です。
②繰り上げ返済の優先度を上げる
金利上昇局面では、手元現金の一部を繰り上げ返済に充てることでローン残高を減らし、利息の増加を抑えられます。ただし、投資の期待リターン(NISA等)と繰り上げ返済の利息節約効果を比較して判断しましょう。
③固定金利への借り換えを検討する
現在の固定金利(3.2%)は高水準のため、借り換えコスト(事務手数料・保証料・登記費用で通常50〜100万円)を回収できるかを計算した上で判断します。一般的に、借り換えによる月々の削減額×回収期間が残存期間内に入れば有利です。
④住宅ローン控除の期間を確認する
住宅ローン控除(年末残高×0.7%の税額控除・最長13年)の控除期間中は、繰り上げ返済より控除を最大化する方が有利なケースがあります。控除が終わった後に繰り上げ返済を集中させる戦略も検討しましょう。
変動 vs 固定:2026年の結論と判断フレーム
2026年時点での合理的な判断
| 優先事項 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 月々の返済を抑えて資産形成を最大化したい | 変動金利 | 差額をNISA・iDeCoに充てる方が長期リターンが高い可能性 |
| 家計の安定・精神的安心を最優先 | 固定金利(フラット35) | 金利上昇リスクをゼロにする安心料として有効 |
| リスク分散したい・どちらか決められない | ミックス返済 | 変動+固定で半々にリスクを分散 |
| 金利が2%超に上昇すると強く確信している | 固定金利 | ターミナルレート2%超シナリオなら固定が有利になる可能性 |
| 返済期間が10年以内・借入額が少ない | 変動金利 | 金利上昇の影響期間が短く、変動の低金利メリットが大きい |
現時点(2026年6月)での合理的な選択は変動金利が有利です。ターミナルレート1.5%が見込まれる中、変動金利が平均3%を超えない限り総コストは変動の方が低くなります。ただし「将来の金利予測は誰にも確実にはできない」ことを前提に、自分の家計ストレス耐性でファイナルジャッジを下しましょう。
住宅ローンに関するよくある質問
Q. 変動金利で借りたが、今から固定に借り換えるべき?
A. 現在の固定金利(3.2%)は高水準で、借り換え費用(50〜100万円)も加算されます。2026年時点では、固定への借り換えが有利になるケースは限定的です。まずストレステストで「金利が2〜3%に上昇した場合も家計が耐えられるか」を確認し、返済に余裕があるなら変動金利のまま繰り上げ返済を強化する方針が合理的です。
Q. フラット35の金利が3.21%は高すぎない?
A. 長期的な視点では、フラット35の3.21%は確かに高い水準です。ただし、フラット35に「ZEH水準・省エネ住宅」の場合に当初5〜10年間金利を0.5%引き下げる「フラット35S」が適用される場合、実質金利を2.7%程度に抑えられるケースもあります。省エネ住宅の購入時は特典を最大限活用しましょう。
Q. 変動金利で借りていて「未払い利息」が発生することはある?
A. あります。5年ルール・125%ルールの保護で返済額の増加が抑えられると、毎月の返済額のうち利息の割合が増えて元金の減りが鈍くなります。急激な金利上昇局面では「返済しているのに残高がなかなか減らない」状況になりえます。不安な方は5年ルール・125%ルールの適用がない「繰り上げ返済自由型」の変動金利商品を選ぶか、定期的に残高確認を行いましょう。
Q. 住宅ローン控除と金利タイプはどちらを優先する?
A. 住宅ローン控除は年末残高×0.7%の控除率のため、金利が0.7%を下回ると「逆ざや」(払う利息より税額控除の方が大きい)になります。変動金利0.9%なら差は0.2%しかなく、逆ざや効果は薄れています。ただし、控除期間中(最大13年)は繰り上げ返済より控除を優先する方が有利なケースがほとんどです。
まとめ:2026年の住宅ローン選びの正解
- 2026年6月の金利:変動0.9%・フラット35 3.21%。差は約2.3%(借入3,500万円・35年で約1,600万円の差)
- 日銀の政策金利ターミナルレートは1.5%(野村証券メインシナリオ)。変動金利は2%程度が上限と見る専門家が多い
- 変動金利が平均3.21%を超えない限り、総コストは変動金利が有利
- 変動金利の5年ルール・125%ルールは保護措置だが、未払い利息のリスクも理解する
- 返済余力あり・資産形成優先→変動金利+差額をNISA・iDeCo投資
- 家計安定優先・金利不安が強い→固定金利(フラット35)で安心を確保
- 悩むなら「ミックス返済」でリスク分散も選択肢
住宅ローン選びと並行して老後・資産形成を整えたい方はiDeCoの始め方【会社員向け完全ガイド】もご参考ください。賃貸と持ち家のどちらが得かという大きな判断については賃貸 vs 持ち家の徹底比較で総コストを確認できます。節税対策全般は会社員の税金対策5選もあわせてご覧ください。


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