「副業収入が20万円以下なら確定申告しなくていい」──この話、半分は正しくて半分は間違いです。所得税の確定申告は不要になる可能性がありますが、住民税の申告は別途必要で、これを怠ると追徴課税のリスクがあります。また「20万円以下なら絶対に不要」ではなく、状況によっては申告が必要になる例外も5パターンあります。
この記事では、副業の確定申告が必要なケース・不要なケースを正確に整理し、住民税申告のやり方・e-Taxでの確定申告の手順・副業が会社にバレないための対策まで、2026年の最新情報をもとに徹底解説します。
【この記事でわかること】①副業20万円以下の「申告不要」の正確な条件 ②住民税は20万円以下でも申告が必要な理由 ③20万円以下でも確定申告が必要になる5つの例外 ④住民税・確定申告それぞれの具体的なやり方 ⑤副業が会社にバレないための申告テクニック
まず結論:副業収入と申告の必要性を一覧で確認
副業の申告義務を「収入額」と「状況」で整理すると、以下のようになります。
| 副業の所得(収入−経費) | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 20万円以下(例外なし) | 原則不要 | 必要(市区町村へ) |
| 20万円以下(例外あり※) | 必要 | 確定申告で完結 |
| 20万円超 | 必要(税務署へ) | 確定申告で完結 |
※例外とは:医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除(初年度)・雑損控除などを申告する場合。詳しくは後述。
「20万円ルール」の正確な意味:収入ではなく「所得」で判定
「副業が20万円以下なら申告不要」という話でよくある誤解が、「20万円」が収入なのか所得なのかという点です。正しくは「所得」で判定します。
所得 = 収入 − 必要経費
たとえばフリーランス案件で年間30万円の報酬を受け取っても、パソコン購入費・通信費・書籍代など15万円の経費があれば、所得は15万円です。この場合、所得が20万円以下なので所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は別途必要)。
一方、Amazonの商品転売で売上30万円・仕入れ5万円の場合、所得は25万円になり、確定申告が必要です。
| 副業の種類 | 収入の例 | 経費の例 | 所得(収入−経費) | 申告 |
|---|---|---|---|---|
| ライター・翻訳 | 28万円 | 書籍・PC代 10万円 | 18万円 | 不要(住民税は必要) |
| アフィリエイト | 25万円 | サーバー・ドメイン代 8万円 | 17万円 | 不要(住民税は必要) |
| ハンドメイド販売 | 35万円 | 材料費 10万円 | 25万円 | 必要 |
| クラウドソーシング | 22万円 | 特になし | 22万円 | 必要 |
また、この20万円ルールが適用されるのは給与所得者(会社員・パート等)のみです。個人事業主・フリーランスとして本業を持つ方は、副業収入の多少にかかわらず確定申告が必要です。
20万円以下でも確定申告が必要な5つの例外パターン
副業の所得が20万円以下でも、次のいずれかに当てはまる場合は確定申告が必要です。副業収入の有無にかかわらず確定申告をする場合は、すべての所得(副業分を含む)を申告しなければなりません。
例外① 医療費控除を受ける場合
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に受けられる医療費控除。この控除を申告する際は、副業の所得も合わせて申告する必要があります。医療費が多くかかった年は要注意です。
例外② ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を利用していれば確定申告は不要ですが、寄附先が6自治体以上、または何らかの理由で確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金控除も副業所得もすべて含めて申告が必要です。
例外③ 住宅ローン控除の初年度
住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要です(2年目以降は年末調整で対応)。この申告の際には副業の所得も含めて申告しなければなりません。
例外④ 年間給与収入が2,000万円超
年収2,000万円を超える高収入の方は、年末調整の対象外となり、副業の有無にかかわらず確定申告が義務付けられています。この場合も副業所得を含めてすべて申告が必要です。
例外⑤ 給与を2か所以上から受け取っている場合
副業がアルバイト・パートなど「給与所得」に分類される場合、2か所以上から給与を受け取ることになります。この場合は20万円ルールが適用されず、確定申告が必要になることがあります。なお、クラウドソーシング・フリーランス・アフィリエイトなどの収入は「雑所得」または「事業所得」として申告するため、この例外には当たりません。
【最重要】住民税は20万円以下でも申告が必要
副業をしている会社員が最もよく見落とすポイントが「住民税の申告」です。所得税の「20万円以下なら申告不要」というルールは、所得税だけの話であり、住民税には同様の特例がありません。
副業の所得がたとえ1万円でも、住民税の申告は市区町村に対して行う必要があります。
住民税の申告をしないとどうなるか
住民税の申告を怠ると、以下のリスクがあります。
- 追徴課税:申告漏れが発覚した場合、本来の税額に加えて延滞税・過少申告加算税が課される
- 無申告加算税:期限内に申告しなかった場合、税額の15〜20%の無申告加算税が課される
- 副業の発覚:税務署や市区町村からの調査により、会社に副業の事実が知られる可能性がある
住民税額の目安
住民税の税率は所得の約10%(都道府県分4%+市区町村分6%)です。
| 副業の所得(年間) | 増加する住民税の目安 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 5万円 | 約5,000円 | 約400円/月 |
| 10万円 | 約1万円 | 約830円/月 |
| 15万円 | 約1.5万円 | 約1,250円/月 |
| 20万円 | 約2万円 | 約1,650円/月 |
住民税の申告を正しく行い、なおかつ「普通徴収(自分で納付)」を選択することで、会社の給与天引きとは切り離して自分で住民税を納めることができます。これにより副業が会社の経理に発覚するリスクを大幅に下げることができます。
副業の住民税を普通徴収にする具体的な手続き方法と、確定申告での設定手順については、副業が会社にバレない方法|住民税を普通徴収にする確定申告の手順で詳しく解説しています。副業を始めたばかりの方はあわせてご確認ください。
住民税申告のやり方【20万円以下で確定申告しない場合】
所得税の確定申告を行わない場合は、住民税の申告を市区町村に対して別途行います。手順は以下のとおりです。
申告期限と提出先
- 期限:翌年の3月15日まで(令和7年分であれば2026年3月15日)
- 提出先:1月1日時点の住民登録がある市区町村の役所(住民税担当窓口)
- 提出方法:窓口持参・郵送・自治体によってはオンライン申告も可
必要なもの
- 本業の源泉徴収票(会社から受け取るもの)
- 副業の収支がわかる書類(売上メモ・請求書・振込明細など)
- 経費の領収書・レシート(経費を計上する場合)
- マイナンバーがわかるもの
- 本人確認書類(運転免許証など)
記入のポイント
- 住民税申告書を役所の窓口またはホームページから入手する
- 給与所得の欄に本業の収入・源泉徴収額を記入する
- 雑所得(または事業所得)の欄に副業の収入・経費・所得を記入する
- 「給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法」の欄で「普通徴収(自分で納付)」を選択する ← ここが副業バレ防止の重要ポイント
- 必要書類を添付して期限内に提出する
確定申告のやり方【20万円超または例外に該当する場合】
副業の所得が20万円を超えた場合、または前述の例外パターンに当てはまる場合は、税務署への確定申告が必要です。スマートフォンとマイナンバーカードがあればe-Taxでオンライン申告が可能で、税務署に行く必要はありません。
申告期限
- 令和7年分(前年所得):2026年2月16日(月)〜 2026年3月16日(月)
- 令和8年分(今年の所得):2027年2月〜3月(予定)
e-Taxでの申告手順(スマートフォン版)
- マイナポータルアプリをインストールし、マイナンバーカードを読み取って本人確認を完了する
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「スマートフォンで申告(マイナンバーカード方式)」を選択
- 給与所得の入力:源泉徴収票の数値をそのまま入力(自動取得も可)
- 副業の雑所得を入力:収入金額・必要経費の合計を入力すると所得が自動計算される
- 各種控除(医療費・ふるさと納税・生命保険料等)を入力する
- 住民税の徴収方法選択画面で「自分で納付(普通徴収)」を選択する ← 副業バレ防止
- 内容を確認して送信(e-Tax送信)。還付がある場合は口座情報を入力
必要な書類一覧
| 書類 | 入手先 | 必要な場合 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 勤務先から年末〜1月頃に交付 | 全員 |
| 副業の収支記録 | 自分で作成(売上・経費の明細) | 全員 |
| マイナンバーカード | 市区町村窓口で取得 | e-Tax利用時 |
| 医療費の領収書 | 病院・薬局から受け取り | 医療費控除申告時 |
| 寄附金受領証明書 | ふるさと納税先の自治体から郵送 | ふるさと納税申告時 |
副業収入から差し引ける経費一覧
確定申告・住民税申告では、副業に関連する経費を収入から差し引いて所得を計算します。経費を正しく計上することで、納税額を適正に抑えることができます。
| 経費の種類 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通信費 | インターネット料金・スマホ代 | 副業利用分のみ(按分計算) |
| 機器・備品 | パソコン・カメラ・マイク | 10万円未満なら全額経費、以上は減価償却 |
| 書籍・情報収集費 | 専門書・オンライン講座・セミナー参加費 | 副業に直接関連するものに限る |
| 交通費 | 取材・打ち合わせ・撮影のための交通費 | 領収書・ICカード履歴を保管 |
| 消耗品費 | 文具・梱包材・写真素材購入 | 副業目的のものに限る |
| 外注費 | デザイン・ライティング・翻訳の依頼費 | 支払い記録を保管 |
| サブスクリプション | Adobeソフト・クラウドストレージ・有料ツール | 副業利用割合で按分 |
経費として認められるかどうかの判断基準は「副業に直接必要かどうか」です。プライベートとの兼用の場合は業務利用割合を合理的に計算して按分します(例:スマホ代の40%を副業用とする場合は40%分が経費)。領収書・振込明細は7年間保管することが求められます。
副業の収支記録の付け方:申告をラクにする日常管理術
確定申告や住民税申告をスムーズに行うには、日頃からの収支管理が重要です。年末に慌てて領収書をかき集めるのではなく、毎月の習慣として記録を整えておくと、申告作業が大幅に楽になります。
おすすめの記録方法
| 方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Googleスプレッドシート | 無料・スマホからも入力可・共有しやすい | PCが得意な人・シンプルに管理したい人 |
| 家計簿アプリ(マネーフォワードME等) | 銀行・カード明細と自動連携、収支グラフ表示 | 副業振込口座を分けている人 |
| クラウド会計ソフト(freee・弥生) | 確定申告書を自動作成、e-Taxとの連携も可能 | 所得が20万円超で毎年申告する人 |
最も手軽な方法は、副業専用の銀行口座とクレジットカードを用意することです。副業の入金・経費支払いをすべてその口座・カードに集約すれば、年間の収支が自動的に記録され、申告時に収支明細を出力するだけで済みます。2026年現在、住信SBIネット銀行・楽天銀行などのネット銀行は口座開設が無料で、副業用サブ口座として利用しやすいです。
領収書・請求書は、紙で保管する場合は月別にクリアファイルで整理し、スマートフォンで撮影して電子保存しておくと安心です。2026年現在は電子帳簿保存法により、スキャン保存(電子データ保存)も正式に認められています。帳簿・領収書の保存期間は原則7年間(欠損金がある場合は10年間)です。
よくある質問(FAQ)
Q. 副業の収入がメルカリ・フリマアプリの場合も申告が必要ですか?
A. 自分が使っていた生活用品(洋服・家電など)の売却は原則として非課税のため申告不要です。ただし、転売目的で購入した商品の販売や、せどり・ハンドメイド品の販売は事業・雑所得として申告対象になります。利益(売上−仕入れ・送料などの経費)が年間20万円を超えたら確定申告が必要です。
Q. 副業収入が現金払い・振込で源泉徴収されていない場合はどうなりますか?
A. 源泉徴収の有無にかかわらず、所得として計上する必要があります。源泉徴収されていない場合は、確定申告で納税額を自分で計算して支払います。逆に源泉徴収されている場合(クラウドソーシングの報酬など)は、確定申告で還付を受けられる可能性があります。
Q. 副業の所得が赤字になりました。申告した方がいいですか?
A. 副業の所得が赤字(経費>収入)の場合、雑所得はほかの所得と損益通算できませんが、申告自体は行うことができます。事業所得として計上している場合は一定の条件で損益通算が可能です。赤字でも住民税の申告は行い、所得ゼロまたはマイナスとして申告することが正しい処理です。
Q. 年の途中で副業を始めました。その年の申告はどうなりますか?
A. 確定申告は1月1日〜12月31日の1年間の所得をまとめて申告します。年の途中から始めた副業でも、年末時点での所得を合算して判定します。翌年2〜3月の申告期間に、副業を始めた月から12月末までの所得を申告してください。
Q. 住民税の申告を忘れてしまいました。どうすればよいですか?
A. 期限後でも「期限後申告」として申告できます。ただし延滞税がかかる場合があります。申告しないまま放置した場合は、税務署・市区町村からの調査・税務調査の対象になるリスクがあります。気づいた時点で速やかに市区町村の住民税担当窓口に相談することをおすすめします。
Q. 副業収入が少額(1〜5万円)でも申告が必要ですか?
A. 所得税の確定申告は、副業の所得(収入−経費)が20万円以下であれば不要です。ただし住民税の申告は所得の金額に関わらず必要です。1〜5万円程度の副業収入でも、住民税の申告は市区町村に対して行ってください。所得が少額の場合、増える住民税額もわずかですが、未申告リスクを避けるためにも申告しておくことが重要です。
まとめ:副業の確定申告「20万円以下」の正しい理解
- 「20万円以下は申告不要」は所得税だけのルール。住民税の申告は別途必要
- 20万円は「収入」ではなく「所得(収入−経費)」で判定する
- 医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除(初年度)などを申告する場合は副業所得も含めて全額申告が必要
- 住民税申告では「普通徴収(自分で納付)」を選ぶことで副業が会社にバレるリスクを低減できる
- 経費を正しく計上すれば所得を適正に圧縮でき、申告義務の有無にも影響する
- 副業所得が20万円超なら、e-Tax(スマートフォン+マイナンバーカード)で自宅から申告可能
副業の税務処理で最も重要なのは「申告が必要か不要か」の正確な判断と、住民税の見落としを防ぐことです。「20万円以下だから何もしなくていい」という思い込みが最大のリスクです。この記事のチェックリストを使って、自分の状況を確認してみてください。
【今すぐできる3つのアクション】
① 副業の年間所得(収入−経費)を計算する:家計簿アプリや表計算ソフトで一度まとめてみましょう。20万円を超えるかどうかで対応が変わります。
② 住民税申告の期限を確認する:令和8年分(今年の副業所得)は2027年3月15日が申告期限です。来年の申告に向けて、今から収支を記録しておきましょう。
③ 住民税の徴収方法を「普通徴収」に設定する:確定申告・住民税申告どちらの場合も「自分で納付」を選択することが副業バレ防止の第一歩です。
副業をどう始めたらいいか迷っている方や、1日30分しか時間がない会社員向けの副業選びについては、副業 時間がない会社員向け【1日30分でできる副業5選】も参考にしてください。副業を始める前に、収入の申告ルールを把握しておくことが長く続けるコツです。


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