「副業の確定申告、青色申告と白色申告どちらにすればいいの?」——副業収入が増えてきた会社員が必ず直面するこの疑問。「青色申告のほうがお得と聞いたけど、手続きが面倒そう」「白色申告は簡単そうだけど損をしている?」——どちらが本当に自分に合っているか、基準がわからないまま申告している方が多いのが現状です。
結論から言うと、副業収入が年間100万円以上あり、継続的な事業活動として認められる見込みがある会社員には青色申告が大幅に有利です。65万円の特別控除だけで、税率20%なら年間13万円の節税になります。ただし「副業が事業所得として認められる」という前提条件があり、誰でも選べるわけではありません。
この記事でわかること:
- 青色申告・白色申告の仕組みと節税メリットの違い(比較表)
- 副業で青色申告できる条件(事業所得の判定・開業届の提出)
- 開業届・青色申告承認申請書の提出期限と手順
- 2026年分と2027年分以後の青色申告特別控除の変更点
- 会社員が青色申告を選ぶ際の注意点(会社バレ・住民税対策)
青色申告・白色申告の基本的な違い
まず2つの申告方法の根本的な違いを整理しましょう。
| 比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | ◎ 最大65万円(e-Tax申告・複式簿記) | × なし |
| 赤字の繰越控除 | ◎ 翌年以降3年間繰越可能 | × 不可 |
| 少額減価償却の特例 | ◎ 30万円未満を全額一括計上可(年間300万円まで) | × 不可 |
| 家族への給与の経費計上 | ◎ 青色事業専従者給与として可能 | △ 事業専従者控除として一定額のみ |
| 記帳の複雑さ | △ 複式簿記(65万円控除)または簡易簿記(10万円控除) | ○ 簡単な収支記録でよい |
| 申請手続き | △ 開業届+青色申告承認申請書の提出が必要 | ○ 不要(確定申告のみ) |
| 対象となる所得 | 事業所得・不動産所得・山林所得のみ | すべての所得 |
最大の差は「最大65万円の青色申告特別控除」の有無です。所得税・住民税合計の税率が20%の人なら年13万円、30%なら年約19.5万円の節税になります。ただし青色申告には「副業が事業所得であること」という重要な前提条件があります。
副業が「青色申告」の対象になる条件
条件①:副業が「事業所得」と認められること
青色申告できるのは「事業所得・不動産所得・山林所得」のみです。会社員の副業でよくある「雑所得(年金・その他の収入)」では青色申告は使えません。
副業が事業所得として認められるかどうかは、2022年10月の国税庁の通達改正により「帳簿書類の保存があるかどうか」が重要な判断基準になっています。
| 副業の状況 | 所得区分の目安 | 青色申告の可否 |
|---|---|---|
| 帳簿書類を保存し、継続的に活動している | 事業所得 | ◎ 可能 |
| 収入が概ね3年間300万円以下かつ本業収入の10%未満だが帳簿あり | 事業所得(原則) | ◎ 可能(ただし実態で判断) |
| 帳簿書類の保存なし・単発的な収入 | 雑所得 | × 不可 |
| アルバイト・パート収入 | 給与所得 | × 不可 |
| 原稿料・講演料(単発) | 雑所得または事業所得(実態次第) | 事業所得なら可 |
ポイント: 副業収入が年300万円以下でも、帳簿書類をきちんと保存・作成していれば事業所得として認められる可能性があります(2022年10月改正後のルール)。逆に帳簿がなければ雑所得とみなされやすくなります。青色申告を目指すなら、副業開始と同時に帳簿をつけることが最初のステップです。
条件②:開業届と青色申告承認申請書の提出
青色申告を選択するには、税務署に2つの書類を提出する必要があります。
| 書類 | 提出先 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 管轄の税務署 | 事業開始から1ヶ月以内(原則) |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 管轄の税務署 | ①1月1日〜1月15日に開業:その年の3月15日まで ②1月16日以後に開業:開業日から2ヶ月以内 |
2026年分(令和8年分)の確定申告で青色申告をしたい場合:
- 2026年1月15日以前に開業していた方:2026年3月15日までに青色申告承認申請書を提出(※2026年3月15日が期限)
- 2026年1月16日以後に開業した方:開業日から2ヶ月以内に提出
- 開業届の提出が遅れていても、青色申告承認申請書を期限内に出せば2026年分から適用可能
どちらの書類もe-Taxまたは郵送・窓口持参で提出できます。マイナンバーカードがあればオンライン(e-Tax)で完結します。副業確定申告の全体的な手順は副業の確定申告やり方・会社員向け全手順ガイドもあわせてご確認ください。
青色申告の3大メリット:具体的な節税効果
①最大65万円の青色申告特別控除(2026年分)
青色申告最大の特典です。2026年分(令和8年分)の特別控除額は以下の3段階です。
| 控除額 | 条件 |
|---|---|
| 65万円控除 | 複式簿記で記帳 + e-Tax(電子申告)で確定申告書・貸借対照表・損益計算書を提出 または、電子帳簿保存法の要件を満たす電磁的記録を保存 |
| 55万円控除 | 複式簿記で記帳 + 書面(紙)で申告(e-Taxを使わない場合) |
| 10万円控除 | 簡易簿記(現金出納帳など)で記帳 |
節税額シミュレーション(65万円控除の場合):
| 所得税率+住民税 | 65万円控除の節税効果 | 副業収入の目安(年収) |
|---|---|---|
| 15%(年収〜400万円) | 約97,500円/年 | 副業収入数十万円〜 |
| 20%(年収500〜600万円) | 約130,000円/年 | 副業収入数十万円〜 |
| 30%(年収700万円〜) | 約195,000円/年 | 副業収入数十万円〜 |
副業収入が年100万円以上の会社員なら、65万円控除の恩恵が最大限に発揮されます。副業経費の計上と合わせることで大きな節税効果が得られます。経費の計上方法は副業で認められる経費一覧をご参照ください。
②赤字の3年間繰越控除
副業を始めた初年度は、設備投資・ツール購入・広告費などで赤字になるケースが少なくありません。青色申告なら、この赤字を翌年から最長3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できます。
例:2026年に副業で30万円の赤字 → 2027年に副業で50万円の黒字 → 課税対象は差し引き20万円(30万円分の税金を節約できる)
白色申告では赤字の繰越は一切できません。副業立ち上げ期の赤字を前提とするなら、青色申告の恩恵は計り知れません。
③30万円未満の少額減価償却:一括経費計上
青色申告の中小企業者(副業の個人事業主も対象)は、取得価額30万円未満の備品・ソフトウェアを購入した年に全額を経費計上できます(1年間の合計300万円まで)。
通常、10万円以上の資産は「減価償却」として複数年に分けて経費計上しますが、この特例を使えば購入年に一括計上でき、その年の節税効果が最大化されます。例:パソコン25万円購入→購入年に25万円全額経費(白色申告では4〜5年に分割)。
白色申告のメリットとおすすめケース
白色申告が有利な場面も確実に存在します。
- 副業収入が年20〜50万円程度の初期段階: 収入規模が小さいうちは65万円控除を使い切れない。白色申告の簡単な手続きで十分な場合が多い
- 副業が単発・不定期: 継続的な事業活動とは言えず、雑所得に区分される可能性が高い場合は青色申告対象外
- 帳簿管理の手間が取れない: 複式簿記は会計ソフトを使えば簡略化できるが、学習コストが発生する。副業収入が低い段階では白色申告のほうがコスパが良い
- 青色申告承認申請書の提出期限を過ぎた: その年の申請期限を過ぎた場合は翌年から青色申告に切り替えることになる
白色申告でも収支内訳書(簡易な収入・経費の一覧)の作成は必要です。「白色だから何も記録しなくていい」ということにはなりません。
【重要】2027年分から青色申告特別控除が75万円に引き上げ
令和8年度(2026年度)税制改正大綱に、2027年分(令和9年分)以後の青色申告特別控除の見直しが盛り込まれました。
| 控除額 | 2026年分(現行)の条件 | 2027年分以後(改正後)の条件 |
|---|---|---|
| 75万円(新設) | —(なし) | 複式簿記 + 電子帳簿保存法の電磁的記録保存(一定要件) |
| 65万円 | 複式簿記 + e-Tax申告または電子帳簿保存 | 複式簿記 + e-Tax申告(要件変更なし) |
| 55万円 | 複式簿記 + 書面申告 | 廃止(→10万円に統合) |
| 10万円 | 簡易簿記 | 簡易簿記(ただし前々年の収入1,000万円超は不可) |
2026年分は現行ルールが適用されます(最大65万円のe-Tax控除)。2027年分以後には「75万円控除」という新しい選択肢が加わります。現在書面申告で55万円控除を受けている方は、2027年分からe-Tax申告に切り替えれば65万円が維持できます。2026年分の確定申告(2027年2〜3月申告)は現行の65万円が最大です。
会社員が青色申告を選ぶ際の3つの注意点
注意点①:副業が事業所得か雑所得かを先に確認する
青色申告ができるのは事業所得のみです。副業収入が「雑所得」に区分される場合は青色申告が使えず、開業届を出しても意味がありません。
- 事業所得になりやすい副業: Webライター・プログラミング・デザイン・せどり・YouTube・ブログ収入(継続的・帳簿あり)
- 雑所得になりやすい副業: 単発の原稿料・スポット的なコンサル・アンケート収入・ポイント還元
- 判断が難しいグレーゾーン: 副業収入が年300万円以下かつ本業の10%未満でも、帳簿を継続的につけていれば事業所得として申告する余地がある(税務署に事前相談が安全)
注意点②:開業届を出すと副業が会社にバレる?
開業届を提出しても、税務署から勤務先の会社に通知されることはありません。開業届が直接バレることはないと考えて大丈夫です。
ただし副業収入が増えると、住民税の増額から会社に察知される可能性があります。確定申告を行う際は、申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」の「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」を「自分で納付(普通徴収)」に必ず設定してください。これを怠ると副業分の住民税が本業の会社経由で徴収されます。詳細は副業が会社にバレない住民税の普通徴収手順をご確認ください。
注意点③:副業所得と本業の年末調整・確定申告の関係
会社員は本業分を年末調整で処理していますが、副業所得が年20万円を超えた場合は別途確定申告が必要です(所得税)。年末調整では副業分は処理されません。
また「20万円以下なら確定申告不要」は所得税のルールです。住民税は1円以上の所得があれば申告が必要です。副業の確定申告の基本は副業の確定申告「20万円以下」は本当に不要?で整理しています。年末調整と確定申告の両方が必要になるケースは年末調整の後でも確定申告が必要なケース8選もご参照ください。
会社員向け「青色か白色か」判断フロー
次の5ステップで自分に合った申告方法を判断できます。
| チェック項目 | Yes → 次へ | No → この方針 |
|---|---|---|
| ①副業収入は年20万円超(確定申告が必要) | 次のチェックへ | 確定申告不要(住民税申告は別途) |
| ②副業が継続的で帳簿をつけられている(or これからつける) | 次のチェックへ | 白色申告(雑所得として申告) |
| ③副業が事業活動として認められる見込みがある | 次のチェックへ | 白色申告(雑所得として申告) |
| ④青色申告承認申請書を期限内に提出できる | 次のチェックへ | 今年は白色申告・来年から青色申告に切り替え |
| ⑤年間副業収入が100万円以上見込まれる(または今後見込まれる) | 青色申告が有利 | 収入規模が小さければ白色申告でも十分 |
上記①〜④をすべてクリアし、副業収入が一定規模以上見込まれるなら青色申告が明確に有利です。副業が軌道に乗り始めたタイミングで青色申告への移行を検討しましょう。
開業届・青色申告承認申請書の提出手順
2つの書類は同時に提出するのが最もスムーズです。
e-Tax(オンライン)で提出する場合
- 国税庁の「e-Tax ソフト(Web版)」または「freee・マネーフォワード開業」にアクセス
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を作成・送信
- 青色申告承認申請書を作成・送信(同日送信が望ましい)
- マイナンバーカード+スマートフォンで電子署名・送信完了
紙(書面)で提出する場合
- 国税庁ホームページから書式をダウンロード・印刷
- 必要事項を記入(氏名・住所・マイナンバー・事業内容など)
- 管轄の税務署に郵送または窓口持参
- 控えに受付印をもらう(郵送の場合は返信用封筒を同封)
開業届の「所得の種類」欄には「事業所得」を選択します。「給与所得」や「雑所得」にすると青色申告承認申請書と整合しないため注意してください。
よくある質問
Q:副業収入が年50万円以下でも青色申告すべきですか?
収入規模によって判断が分かれます。副業収入50万円で経費が30万円なら所得は20万円。65万円の特別控除を使っても所得を0にしきれないため、控除の一部が余ることになります。ただし赤字の繰越控除や少額減価償却の特例は収入規模にかかわらず有効です。副業が将来的に拡大する見込みがあれば、早めに青色申告に移行して繰越控除の準備をするのは合理的な判断です。
Q:会計ソフトを使わないと複式簿記は難しいですか?
手書きの複式簿記は確かに難しいですが、会計ソフト(freee・マネーフォワード クラウド確定申告・弥生会計など)を使えば銀行口座やクレジットカードと連携して自動仕訳されるため、日々の入力は大幅に簡略化できます。月額1,000〜2,000円程度のコストがかかりますが、これ自体が副業の経費として計上可能です。65万円控除による節税効果(税率20%なら年13万円)と比べれば十分すぎる投資対効果があります。
Q:今年すでに確定申告してしまいましたが、今から青色申告に切り替えられますか?
過去の申告を遡って青色申告に変更することはできません。翌年分から青色申告に切り替えるために、今年中に開業届と青色申告承認申請書を提出してください。来年1月1日以降の所得から青色申告が適用されます(1月1日〜1月15日に提出する場合は翌年3月15日が期限)。副業の確定申告全般については副業の確定申告やり方・会社員向け全手順ガイドで手順を確認してください。
まとめ:青色・白色の選び方3原則
- 副業が事業所得として認められる見込みがあり、年100万円以上の収入が見込まれるなら青色申告が圧倒的に有利——65万円控除・赤字繰越・少額減価償却の3つの恩恵が重なり、節税効果は年10〜20万円規模になる。今すぐ開業届と青色申告承認申請書を提出する価値がある
- 副業収入が年50万円以下・単発的・帳簿なしの段階は白色申告から始める——青色申告の手続きコスト(会計ソフト代・学習時間)が控除の恩恵を上回る場合がある。まず白色申告で確定申告の感覚を掴み、副業が軌道に乗ったら移行する段階的アプローチが現実的
- 2027年分から75万円控除(新設)が加わるため、今から複式簿記と電子帳簿保存の準備を——2026年分は最大65万円(e-Tax)が現行の最大値。2027年分以後は電子帳簿保存法の要件を満たせば75万円まで増額。2026年中に準備を始めれば2027年から恩恵を受けられる
副業を本格化させるなら、青色申告は「早めに始めるほど得をする制度」です。とくに赤字の繰越控除は遡れないため、副業開始年から申告することで将来の節税効果が最大化されます。副業収入の目安と申告スケジュールを把握するには副業の確定申告やり方・会社員向け全手順ガイドもあわせて読んでみてください。
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※本記事の税制・申告ルール情報は2026年6月時点のものです。令和8年度税制改正大綱の内容(青色申告特別控除の見直し)は令和7年12月19日公表時点の情報をもとに記載しています。最新の申告要件は国税庁公式サイト(nta.go.jp)でご確認ください。


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