最終更新:2026年7月
「高配当で、しかも将来も配当が増えていく『増配株』を自分で見つけたい」——そんなときに役立つのがスクリーニングです。証券会社のツールを使えば、何千もの銘柄から条件に合う増配株を一瞬で絞り込めます。
ポイントは「利回りの高さ」だけでなく「増配を続ける実力(増配余地)」を条件に組み込むこと。配当性向や財務の健全性をフィルターにかけることで、減配リスクの低い優良な増配株を見つけられます。
この記事では、増配株を見つけるスクリーニングの具体的な条件設定と、証券会社ツールでの実践手順を解説します。
本記事はスクリーニングの考え方・手順を解説する情報提供を目的としており、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。
- スクリーニングは証券会社のツールで条件絞り込みできる
- 増配株は利回り+配当性向+連続増配年数で絞る
- 配当性向が低い=増配余地が大きいのがカギ
- 2026年は「累進配当」「DOE」を掲げる企業に注目(減配リスクが低い)
- 絞り込み後は減配歴・業績・有利子負債を必ず確認
- 金利上昇局面では財務の健全性がより重要に
1. スクリーニングとは?
スクリーニング(銘柄選別)とは、多数の銘柄の中から、自分の決めた条件に合うものを自動で絞り込むこと。証券会社の「スクリーナー」機能を使えば、配当利回りや配当性向などの数値条件を指定するだけで、該当銘柄を一覧で表示できます。
SBI証券・楽天証券・マネックス証券などのネット証券は、無料で高機能なスクリーニングツールを提供しています。増配株探しは、このツールの活用が出発点です。
2. 増配株を見つける「基本のスクリーニング条件」
増配株を絞り込むときの代表的な条件を整理します。これらを組み合わせて設定します。
| 条件 | 目安 | 狙い |
|---|---|---|
| 配当利回り | 3〜4%以上 | 高配当の入り口(高すぎは罠も) |
| 配当性向 | 30〜50%以下 | 無理のない配当+増配余地 |
| 連続増配年数 | 3年以上 | 配当を増やし続ける姿勢 |
| 自己資本比率 | 40〜50%以上 | 財務の健全性(50%超は優良) |
| 営業利益の成長 | 過去5年平均で増加傾向 | 利益が増えれば配当も増えやすい |
| 時価総額 | 一定規模以上 | 倒産・流動性リスクを抑える |
ある投資手法では「①配当利回り4%以上 ②配当性向35%以下 ③過去5年の営業利益平均成長率5%以上 ④時価総額5,000億円以上」という4条件で絞り込む例が紹介されています。条件は厳しくするほど候補が絞られ、緩めるほど候補が増えます。まずは緩めに設定し、徐々に絞るのがコツです。
3. 「増配余地」と「減配リスク」を見抜く3つの指標
増配株を選ぶうえで、利回りの次に見るべきが「今後も配当を増やせるか(増配余地)」と「減配しないか(安定性)」です。ここでは配当性向・DOE・累進配当という3つの視点で見抜く方法を解説します。
① 配当性向:低いほど増配余地が大きい
増配株スクリーニングで最も基本となるのが配当性向です。配当性向とは「利益のうち配当に回す割合」で、この数値が低いほど『増配余地』が大きいと判断できます。
| 配当性向 | 増配余地の見方 |
|---|---|
| 30〜40% | 余裕あり。今後の増配が期待しやすい |
| 50〜70% | 増配余地は限られる |
| 80%以上 | これ以上の増配は難しい。減配リスクも |
利回りが同じ4%でも、配当性向30%の企業と80%の企業では「今後の増配しやすさ」がまったく違います。「利回りはほどほどでも、配当性向が低く、利益が伸びている」企業こそ、将来の増配で利回りが育つ有望株です。
② DOE(株主資本配当率):配当の「安定性」を測る2026年注目指標
DOE(Dividend On Equity=株主資本配当率)は「自己資本に対して何%を配当に回すか」を示す指標です。配当性向が“利益”を分母にするのに対し、DOEは変動の小さい“自己資本”が分母のため、業績が上下しても配当が安定しやすいのが特徴です。
近年は「DOE○%以上を目標」と明言する企業が増えており、DOEを掲げる企業は減配しにくく、利益が伸びれば増配も期待できるという二重の魅力があります。目安としてDOE3〜5%以上を掲げていれば株主還元に積極的なサインです。スクリーニングの数値条件に直接は入れにくい指標ですが、絞り込んだ後にIR資料・決算説明資料で「DOE目標」の有無を確認すると、配当の底堅さを判断できます。
③ 累進配当政策:「減配しない」宣言でリスクを下げる
累進配当とは、「配当を維持または増配し、減配はしない」と会社が方針として掲げること。累進配当を宣言している企業は、業績が一時的に悪化しても配当を下げにくいため、増配株投資で最も避けたい“減配”のリスクを構造的に下げられます。
2026年にかけて日本企業の株主還元姿勢は急速に強まっており、累進配当を新たに導入する企業は前年比で大幅に増加しています。過去10年以上累進配当を続けた企業群は、株価も日経平均を上回って推移する傾向が確認されています。スクリーニングで候補を絞ったら、各社のIRページや中期経営計画で「累進配当」「DOE目標」「配当性向○%目安」といった配当方針を必ずチェックしましょう。ここが増配の“本気度”を見分ける決め手になります。
4. 証券会社ツールでのスクリーニング実践
楽天証券「スーパースクリーナー」
楽天証券のスーパースクリーナーは、配当利回り・配当性向・PER・PBR・ROE・自己資本比率など多数の指標で絞り込める無料ツールです。2025年1月のリニューアルで検索条件が拡充され、配当月や優待月での絞り込みもできるようになりました。詳細検索項目は最大5つまで同時指定できます。
操作の流れ:「スーパースクリーナー」を開き→「詳細検索項目」で「配当利回り」「配当性向」「自己資本比率」などを追加→それぞれに数値(例:配当利回り3.5%以上、配当性向50%以下、自己資本比率40%以上)を入力→表示された候補を配当利回り順などで並べ替えて確認、という手順です。ただし「連続増配年数」での直接の絞り込みには対応していないため、連続増配を重視する場合は次の銘柄スカウターを併用しましょう。
マネックス証券「銘柄スカウター」
マネックス証券の銘柄スカウターは、企業分析に強い無料ツール。スクリーニングで連続増配年数を条件設定でき、過去の配当推移や業績をグラフで確認できます。絞り込んだ後の「個別企業の深掘り」に特に役立ちます。
さらに、銘柄スカウターにある「10年スクリーニング」では、予想配当利回り・配当性向・過去10年の営業利益成長率などを組み合わせて絞り込めます。2026年5月のアップデートで「連続増配年数」「ネットキャッシュ倍率」「PSR」などの指標が追加され、「連続増配年数」を使ったスクリーニングが公式のおすすめ条件にも加わりました。「配当利回り3%以上+連続増配9期以上」といった増配株向けの条件設定が可能で、増配株スクリーニングには最も実用的なツールです。
操作の流れ:「10年スクリーニング」→「新規作成」→絞り込みたい条件(例:予想配当利回り3%以上、連続増配年数5年以上、配当性向50%以下)を入力→「条件を追加する」で財務指標(自己資本比率・ネットキャッシュ倍率など)を足す→「スクリーニング」ボタンで実行。ヒットした各銘柄は、そのまま過去10年以上の配当推移・業績をグラフで深掘りできます。
1. 証券会社のスクリーナーを開く
2. 配当利回り(例:3.5%以上)を設定
3. 配当性向(例:50%以下)を追加
4. 連続増配年数(例:3年以上)を追加
5. 自己資本比率(例:40%以上)を追加
6. 表示された候補を一覧で確認し、次の章で個別精査
そのまま使える「条件セット」3パターン
「どの数値を入れればいいか分からない」という人向けに、目的別の条件セットを用意しました。まずはこれをベースに、候補が多すぎる/少なすぎる場合に少しずつ調整してください。
| 条件 | ①安定重視 | ②バランス | ③増配余地重視 |
|---|---|---|---|
| 配当利回り | 3.5%以上 | 3%以上 | 2.5%以上 |
| 配当性向 | 60%以下 | 50%以下 | 35%以下 |
| 連続増配年数 | 5年以上 | 3年以上 | 3年以上 |
| 自己資本比率 | 50%以上 | 40%以上 | 40%以上 |
| 営業利益(10年) | 横ばい以上 | 増加傾向 | 年5%以上成長 |
※数値はあくまで出発点の目安です。業種によって適正水準は異なります(例:インフラ・通信は高配当性向でも安定、成長業種は低配当性向が普通)。候補がゼロになったら条件を1つずつ緩め、多すぎたら利回り・配当性向を厳しくして調整します。
スーパースクリーナーは楽天証券の口座があれば無料で使えます。増配株探しをこれから始めるなら、まず口座開設から。
※口座開設・維持費は無料。高機能スクリーナーや日経テレコン(無料)も利用できます。
5. スクリーニング後に必ず確認する5項目
スクリーナーはあくまで「候補の絞り込み」。表示された銘柄は、次の5点を個別に確認してから判断します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| ①過去の配当推移 | 過去5年で減配していないか |
| ②業績トレンド | 売上・営業利益が安定または成長しているか |
| ③有利子負債の推移 | 借入が膨らんでいないか(金利上昇局面で重要) |
| ④利回りの妥当性 | 株価急落で見かけ上高くなっていないか |
| ⑤セクター分散 | 同じ業種に偏っていないか |
金利上昇局面では、借入の多い企業は利払い負担が増え、利益が圧迫されて減配につながることもあります。スクリーニングで絞った後、有利子負債が過大でないか・自己資本比率が十分かを必ずチェックしましょう。
6. スクリーニングの注意点
- 数字だけで決めない:スクリーニングは候補出し。最後は事業内容・将来性も見る
- 条件を厳しくしすぎない:候補がゼロになる。まず緩めに設定して調整
- 過去実績は将来を保証しない:連続増配でも今後減配の可能性はある
- 分散を忘れない:1銘柄に集中せず、複数業種に分けて保有する
7. 見つけた増配株はNISAで非課税に
スクリーニングで見つけた増配株は、新NISAの成長投資枠で保有するのがおすすめです。配当には通常20.315%の税金がかかりますが、NISAなら非課税。増配で配当が増えるほど、非課税のメリットも大きくなります。
増配株は長期保有で「取得価格に対する利回り(YOC)」が育つのが魅力。その配当をNISAで非課税で受け取れば、複利効率がさらに高まります。スクリーニング→NISAで保有、が増配株投資の王道です。
よくある質問(FAQ)
Q. スクリーニングは無料でできますか?
A. はい。SBI証券・楽天証券・マネックス証券などネット証券の口座を開けば、スクリーニングツールはすべて無料で使えます。口座開設・維持費もかかりません。楽天証券の「スーパースクリーナー」やマネックス証券の「銘柄スカウター」が代表的です。
Q. 配当利回りは何%以上を条件にすべき?
A. まずは3〜3.5%以上を目安にしましょう。ただし利回りが高すぎる(例:6%超)銘柄は、株価下落や業績悪化で「見かけ上高い」だけのことも多く、減配リスクが高まります。増配株狙いなら利回りは欲張らず、配当性向の低さと利益成長を優先するのがコツです。
Q. 連続増配年数はどのツールで見られますか?
A. マネックス証券の「銘柄スカウター」10年スクリーニングが便利です。2026年5月のアップデートで「連続増配年数」が正式な絞り込み項目に追加され、連続増配銘柄を直接検索できます。楽天証券のスーパースクリーナーは配当利回り・配当性向には対応しますが、連続増配年数の直接絞り込みには非対応です。
Q. 配当性向は何%以下が良いですか?
A. 増配余地を重視するなら30〜50%以下が目安です。配当性向が低いほど利益を配当に回す余裕があり、今後の増配が期待できます。逆に80%を超えると増配余地が乏しく、業績が悪化すると減配リスクが高まります。
Q. 「累進配当」の企業はどうやって探せばいい?
A. スクリーナーの数値条件では直接絞れないため、スクリーニングで候補を絞った後、各社のIRページ・中期経営計画・決算説明資料で「累進配当」「DOE目標」などの配当方針を確認します。累進配当を掲げる企業は減配しにくく、増配株投資と相性が良いです。
まとめ:条件で絞り、個別精査で仕上げる
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①条件設定 | 利回り・配当性向・連続増配・自己資本比率で絞る |
| ②増配余地 | 配当性向が低く利益が伸びる企業を重視 |
| ③個別精査 | 減配歴・業績・有利子負債・分散を確認 |
| ④保有 | 新NISAで非課税にして長期保有 |
増配株のスクリーニングは、「利回り+配当性向+連続増配+財務の健全性」を条件に絞り込み、その後に個別精査で仕上げるのが基本です。特に「配当性向が低く、利益が伸びている」企業は、将来の増配で利回りが育つ有望株。証券会社の無料ツールを使えば、誰でもこの絞り込みができます。
大切なのは、スクリーニングの数字を鵜呑みにせず、減配歴や業績・財務を自分の目で確認すること。そして見つけた増配株は新NISAで非課税保有し、増えていく配当を長期でじっくり育てましょう。
増配株スクリーニングのチェックリスト
- 配当利回り3〜4%以上を条件にしたか
- 配当性向30〜50%以下(増配余地)で絞ったか
- 連続増配年数を条件に加えたか
- 自己資本比率・有利子負債で財務を確認したか
- 絞り込み後に減配歴・業績を個別精査したか
- 新NISAで非課税保有する計画か
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