「配当金ももらえて、優待も使えるなんて最高じゃないか」と思うのは当然です。株主優待と高配当の両方を享受できる銘柄は確かに存在しますが、「優待利回りが高いから」「配当利回りが高いから」という理由だけで選ぶと失敗するリスクがあります。特に近年は優待廃止の動きが加速しており、2025年に株主優待を廃止した上場企業は68社にのぼり、無条件に信頼できる銘柄は年々減っています。
この記事では、株主優待と高配当を両立できる銘柄の探し方・具体的な選定基準・2026年現在でも両立を実現している銘柄例・優待廃止リスクを回避する方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
株主優待と高配当を両立する魅力:「総合利回り」で考える
投資の世界では、配当金と株主優待を合わせた利回りを「総合利回り」と呼びます。配当利回りだけで評価するより、優待品の金銭的価値も加算することで、投資の実質的なリターン(手取りベースの利回り)が正確に見えてきます。
総合利回り=配当利回り+優待利回り(優待品の推定価値÷投資金額)
例えば、株価3,000円・配当利回り3%(年間90円)の銘柄で、100株保有(投資額30万円)の場合に3,000円分の食事券が優待で届くとすると、優待利回りは1%(3,000円÷30万円)となり、総合利回りは4%になります。配当利回りだけ見ると3%でも、実質的には4%の「税引き前利回り」を享受できるわけです。
ただし、株主優待の価値は「使える人・使えない人」によって大きく異なります。例えば「牛丼チェーンの食事券」は牛丼好きには価値がありますが、そうでない人には使いにくい。自分のライフスタイルや居住地に合った優待内容を選ぶことが重要なポイントです。
両立銘柄の探し方:5ステップスクリーニング
株主優待と高配当を両立する銘柄を効率よく探すには、スクリーニングツールを活用した絞り込みが有効です。SBI証券・楽天証券・みんかぶ・Yahoo!ファイナンスなどでは無料で使える株式スクリーニング機能があります。
ステップ①:配当利回り3%以上でフィルター
一般的に配当利回り3%以上を「高配当株」と呼びます。まず配当利回り3%以上でスクリーニングをかけ、候補銘柄を絞り込みます。なお、配当利回りが7%以上の銘柄は「高配当トラップ」(株価が大きく下落しているため表面利回りが高くなっている)の可能性があり、業績・財務の確認が特に重要です。
ステップ②:株主優待の有無を確認
みんかぶの「配当+株主優待利回りランキング」や株主優待専門サイト(kabuyutai.com等)では、配当利回りと優待利回りを合算した総合利回りでランキングが確認できます。「株主優待あり」かつ「配当利回り3%以上」で絞り込むと、両立銘柄の候補リストが出てきます。
ステップ③:配当性向50〜70%以内か確認
配当性向(純利益のうち配当に回す割合)が80%超の銘柄は、業績が少し悪化しただけで減配リスクが急上昇します。また配当性向が高い企業が同時に優待コストも負担する場合、財務的な余裕が少なく「優待廃止→配当維持」という選択が迫られる可能性があります。配当性向50〜70%以内を基準にしましょう。
ステップ④:自己資本比率40%以上・連続増配または安定配当の実績確認
財務健全性の高い企業ほど、経済危機時でも配当・優待の両方を維持しやすいです。自己資本比率40%以上、かつ過去5〜10年で減配していない(または連続増配実績がある)銘柄は、今後も両立を維持できる可能性が高いです。
ステップ⑤:優待廃止リスクを確認
業績が悪化している企業・赤字が続く企業・「費用対効果を重視する」とコメントしている企業は、優待廃止リスクが高いです。また、優待開始から1〜2年しか経っていない銘柄は実績が少なく、突然の廃止リスクがあります。10年以上優待を継続している銘柄の方が廃止リスクは低い傾向があります。
株主優待と高配当を両立する銘柄:具体例
2026年現在、株主優待と高配当の両方を実現している代表的な銘柄を紹介します。※以下は情報提供目的であり、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。最新の優待内容・配当利回りは証券会社またはIRページで必ずご確認ください。
| 銘柄名(証券コード) | 配当利回り目安 | 株主優待の内容 | 優待対象株数 |
|---|---|---|---|
| ヒューリック(3003) | 約4% | 300株以上・2年以上継続保有:グルメカタログギフト6,000円相当(3,000円分×2点選択。ヒューリックホテル利用券or寄付も選択可)(13期連続増配) | 300株〜 |
| イオン(8267) | 約1.5〜2% | オーナーズカード(買物キャッシュバック1〜7%)・ラウンジ利用 | 100株〜 |
| サンドラッグ(9989) | 約2〜3% | PB商品交換券(12種から1品選択)+店舗利用優待割引券2,000円分 | 100株〜 |
| コメダHD(3543) | 約2〜3% | KOMECA電子マネー年2回各1,000円チャージ(3年以上300株保有で追加1,000円) | 100株〜 |
| ビックカメラ(3048) | 約1〜2% | お買物優待券(100株で年2,000〜3,000円分・長期保有で増額) | 100株〜 |
| KDDI(9433) | 約3% | 200株以上1年以上継続保有でPontaポイント等2,000〜3,000円相当から選択 | 200株〜 |
ヒューリック(3003)は13期連続増配を誇る不動産会社で、配当約4%に加え、300株以上・2年以上継続保有でグルメカタログギフト6,000円相当(ホテル利用券等も選択可)が受け取れる優待制度が整っており、配当と優待の両立銘柄として注目度が高い銘柄です。イオンは配当利回り単体では低めですが、オーナーズカードによる買物キャッシュバック(1〜7%、年間イオンで多く買い物する人ほど優待価値が高い)を加えた総合利回りは高くなりえます。コメダHDの電子マネー優待は「電子マネーとして自由に使える」という汎用性の高さが人気です。KDDIは24期連続増配(2026年時点)と配当の安定成長に加え、Pontaポイント等の優待も実施している点で総合利回りの高い両立銘柄として注目されています。
なお、各銘柄の優待内容・配当利回りは年度によって変わる可能性があります。購入前に必ず最新の情報を各社のIRページまたは証券会社の銘柄ページで確認することを忘れずに。高配当株・増配株を組み合わせた長期投資については日本株の長期保有向け増配株おすすめ銘柄と選び方も参考にしてください。
優待廃止リスクに注意:近年の廃止トレンドと見分け方
2025年は175社が優待を新設した一方で、68社が廃止を発表しました。廃止が増えている背景には複数の理由があります。
廃止が増えている3つの理由
- 東証の市場再編(2022年4月):プライム市場の上場維持基準が変更され、個人株主数の維持目的で優待を続ける必要性が低下した企業が増えた
- 株主平等原則への対応:海外機関投資家から「日本円以外の通貨で生活する株主は優待の恩恵を受けられない」という公平性への指摘が増加し、優待を廃止して配当・自社株買いに一本化する動きが広がっている
- 業績悪化によるコスト削減:赤字転落や業績不振が続く企業が優待コストを削減するために廃止するケース
かつて人気の高かったオリックス(8591)も2024年3月期をもって株主優待を廃止しました(現在は廃止済み)。「長年続けている企業だから安心」という思い込みは危険であり、財務状況・業績動向・経営方針の変化を定期的にチェックすることが重要です。また、株式分割によって投資単位が小さくなった企業が「分割に合わせて優待内容を改悪(1株あたりの優待価値を下げる)」するケースも増えており、分割後の優待内容は必ず再確認が必要です。優待廃止・改悪が発表された場合の売却判断については、高配当株の損切り判断と同様の考え方が適用できます。投資前提が崩れたと判断したなら保有継続を見直す勇気が必要です。
廃止リスクが高い銘柄の特徴
- 直近2〜3年の業績が赤字または大幅な減益傾向
- 優待新設から2年以内の新設銘柄(実績が少ない)
- 「株主還元方針の見直しを検討」「費用対効果を重視」という経営陣のコメント
- 外国人株主比率が高い(海外投資家からの廃止圧力が強い)
- 配当性向が既に高く、優待コストを同時に負担する余裕が少ない
無料で使えるスクリーニングツール活用法
証券各社や金融サイトで提供されているスクリーニングツールを使えば、数千銘柄の中から条件に合う銘柄を効率よく探せます。主要なツールの使い方を紹介します。
みんかぶ「配当+株主優待利回りランキング」
みんかぶの株主優待ページでは、配当利回りと優待利回りを合算した「総合利回り」でランキング表示できます。権利確定月別にフィルターもかけられるため「3月末に権利確定する高配当・優待銘柄」という絞り込みが簡単に行えます。無料で使えるため、まずこのサイトで全体像をつかむと効率的です。
Yahoo!ファイナンス「株主優待配当利回りランキング」
Yahoo!ファイナンスでは「長期保有向け優良高配当株」として「配当利回り3%以上・ROE3%以上・自己資本比率20%以上・時価総額250億円以上」という条件でフィルターをかけた銘柄一覧を確認できます。財務健全性の指標も組み合わせたスクリーニングが一度にできる点が便利です。
SBI証券・楽天証券のスクリーニング機能
口座を持っている証券会社のスクリーニング機能を使えば、「配当利回り○%以上」「株主優待あり」「配当性向○%以下」「自己資本比率○%以上」など複数条件を同時に設定できます。スクリーニング結果からそのまま銘柄ページに移動して詳細を確認できるため、証券口座開設済みならまず証券会社のスクリーニング機能を活用しましょう。
スクリーニングで候補銘柄が見つかったら、必ず各社のIRページ(投資家情報ページ)で「最新の優待内容・変更予定の有無」を確認してください。優待内容はスクリーニングサイトの情報更新が遅れることがあり、廃止・改悪済みの古い情報が残っているケースがあるためです。
NISA口座での株主優待の注意点
NISA口座で株主優待銘柄を保有する場合、以下の点に注意が必要です。
- 配当金の非課税メリットはある:NISA口座で保有する株の配当金は非課税になります。配当利回り4%の銘柄なら通常の20.315%の税金が免除されます
- 株主優待自体は元々非課税:株主優待品は税制上「贈与」として扱われるため、通常の口座でも優待品には税金がかかりません。つまり優待に限ってはNISA口座の非課税メリットはありません
- NISA口座での損失は損益通算不可:NISA口座で保有する銘柄が大きく値下がりして売却した場合、その損失は他口座の利益と相殺できません
優待銘柄をNISAに入れる最大のメリットは「配当金の非課税化」です。配当利回りが高い銘柄ほどNISA口座の恩恵が大きいため、配当利回り3%以上の両立銘柄はNISA成長投資枠に入れる価値が高いと言えます。NISAとiDeCoの使い分けについてはiDeCoとNISAどちらを優先すべきか?順番を整理も参考にしてください。
株主優待・高配当銘柄を購入するには、まず証券口座の開設が必要です。日本株を始めるなら【DMM 株】!(PR)のような手数料の低い証券会社でNISA口座を開設することで、配当金を非課税で受け取りながら株主優待も楽しめます。
総合利回りを高める:権利確定月の分散戦略
株主優待・配当金を受け取るには、各銘柄の「権利確定日(権利付き最終日)」までに株を保有している必要があります。多くの銘柄は3月末・9月末が権利確定月ですが、2月・5月・8月・11月など異なる月に設定されている銘柄もあります。
権利確定月を分散して銘柄を選ぶことで、年間を通じて毎月のように配当金や優待が届く「優待・配当カレンダー」を作ることができます。例えば「3月末銘柄・6月末銘柄・9月末銘柄・12月末銘柄を1銘柄ずつ」という組み合わせで、年4回の配当金と優待品を計画的に受け取れます。
| 権利確定月 | 銘柄例 | 配当・優待受取時期 |
|---|---|---|
| 3月末 | イオン・KDDIなど | 6月頃(配当)・4〜5月頃(優待) |
| 6月末 | 金融・商社系の一部銘柄 | 9月頃(配当)・7〜8月頃(優待) |
| 9月末 | コメダHD・サンドラッグなど | 12月頃(配当)・10〜11月頃(優待) |
| 12月末 | 小売・食品系の一部銘柄 | 3月頃(配当)・1〜2月頃(優待) |
よくある質問(Q&A)
Q. 株主優待狙いで単元未満株を買っても優待はもらえますか?
A. 基本的にもらえません。株主優待は「100株(1単元)以上保有」が条件になっているケースがほとんどです。1株や数株の単元未満株では優待の権利が発生しないため、優待目的なら最低1単元(100株)を購入する必要があります。ただし配当金は1株から受け取れます。一部の銘柄では単元未満株でも優待が受けられますが(例:一部のプレミアム優待倶楽部銘柄)、例外的なケースです。
Q. 優待目的で権利確定日直前に買って、確定後すぐ売る方法はどうですか?
A. 「権利取り売り」と呼ばれる手法ですが、権利確定後に株価が下落する「権利落ち」が発生することが多く、配当金・優待の価値より株価下落分が大きくなるリスクがあります。また短期売買を繰り返すと取引手数料・税金のコストが積み上がります。優待と配当を長期で享受するという本来の目的から外れた手法であり、初心者にはおすすめしません。「長期保有特典」を設けている銘柄の場合、短期で売買すると長期保有ボーナスの優待も受け取れなくなるデメリットもあります。
Q. 高配当株と優待株は別々に持つべきですか?
A. 両立できる銘柄があれば一緒に保有できますが、「高配当を最重視する銘柄」と「優待を楽しむ銘柄」を分けてポートフォリオに組み込む方法も有効です。配当利回りを重視する場合は高配当銘柄を中心に、生活費の節約という実用目的でイオン・飲食店・ドラッグストアなどの優待銘柄を数銘柄加えるという組み合わせが、多くの個人投資家に実践されています。高配当株ポートフォリオの作り方については高配当株で毎月配当ポートフォリオを作る方法も参考にしてください。
まとめ:株主優待と高配当の両立銘柄を選ぶ5つのポイント
- 配当利回り+優待利回りの「総合利回り」で銘柄を比較する。配当単体だけで判断しない
- スクリーニングは「配当利回り3%以上」「優待あり」「配当性向50〜70%」「自己資本比率40%以上」の順で絞る
- 優待廃止リスクを見極める:業績悪化・外国人株主比率・経営方針のコメントに注目する
- 権利確定月を分散させて、年間を通じて配当金・優待品を受け取れるカレンダーを作る
- 配当利回りが高い両立銘柄はNISA成長投資枠に組み入れることで配当金を非課税で受け取れる
株主優待と高配当の両方を楽しむことは、投資を「生活の楽しみ」に変える素晴らしい方法です。ただし優待廃止や減配のリスクを理解した上で、財務健全性の高い銘柄を選ぶことが長期投資を成功させる基本です。「届いた優待品を使う・配当金が入金される」体験は投資継続の大きなモチベーションになります。損切りの判断基準については高配当株の損切り基準とタイミングの考え方も合わせて確認しておきましょう。


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